2023/12/26 火曜日

村岡山口県知事及び柳居県議会議長に対し、要望書を提出しました!

Filed under: 建設業協会 — admin @ 10:40:59

去る12月15日(金)、村岡山口県知事及び柳居県議会議長に対し、要望書を提出いたしましたので、御報告いたします。 今年の要望書の内容は下記のとおりです。

「令和6年度県予算へ対する要望書」

平素より、私ども建設業界に対して、格別の御支援・御高配を賜っており、厚く御礼申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症はワクチン接種などの対策により、現時点、決して楽観はできないものの、一定の落ち着きを見せています。
また、昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の緊迫化は、今なお続き、日本の政治経済や社会生活に大きな影響を与えていますが、建設業においても、侵攻が拍車をかけた資材価格等の高騰・品薄なども続いており、未だに厳しい経営環境下に置かれています。

一方で、近年は気候変動の影響等により、全国各地で大規模な自然災害が頻発しています。本年6月から7月にかけては、九州山口、東北地方を始め全国各地で、大雨による大きな災害が発生しましたし、その後の度重なる台風による被害も発生しています。

その度に、各地の地域建設業は、これらの災害に迅速に対応し「地域の守り手」としての役割を果たしていますが、将来にわたり地域の安全・安心を担うという社会的使命を果たしていくためには、様々な課題を抱えながらも、地域に根差して存続し続けなければなりません。そのためには健全で「持続可能」な経営基盤が求められます。

引き続き、官民一体となって、週休2日制や時間外上限規制に対応しつつ、「働き方改革や処遇改善」、建設キャリアアップシステム等による「職場環境の整備」、そしてi-Construction等の生産性向上による「経営基盤の強化」を図りながら、社会資本整備の着実な推進に取り組んでいくことが必要と考えています。

つきましては、自らも企業努力に取り組んで参りますが、県の予算編成におかれては、地域経済に大きな役割を担う地域建設業の経営基盤安定化の観点からも、下記のとおり、「公共事業予算の安定的な確保」や「公共工事の県内企業への優先発注」などについて、引き続き、格別の御高配を賜りますようにお願い申し上げます。

1 公共事業予算の安定的な確保について(継続)

近年、数十年に一度と言われる豪雨や大地震など災害が全国各地で頻発しており、令和2年7月豪雨等大規模な自然災害による大きな被害が発生し、長期間にわたって住民生活に重大な支障を引き起こしています。
山口県においても平成30年の西日本豪雨では、東部地域を中心に大きな災害が発生し、人的被害も出ました。過去、平成25年の萩地域や平成26年の岩国地域などにおいても、これまで経験したことのない大雨により河川の氾濫や土砂災害による住家や農地の浸水、道路の被害が多数発生しており、今後も、いつ起こってもおかしくない状況にあります。
県民の安心・安全を確保することは県政の最重要課題であり、今後とも、ハード・ソフトにわたる防災・減災対策の早急な検討・対策の実施が望まれます。
県財政が大変厳しい状況にあることは理解していますが、県民の生命と財産に関わることであり、多発する豪雨災害や地震等に対する防災・減災対策のための社会資本整備の推進及び老朽化した既存ストックの改修等を早急に実施する必要があります。
県の令和5年度当初予算においては、大規模な自然災害等の発生に備え、災害に強い県づくりを進めるとされたものの、厳しい財政事情を反映して、公共事業関係費は、前年度とほぼ同額となっています。これら社会資本等の整備には、長期の期間と多額の費用を要することから、国が一昨年度から取り組んでいる「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」について、5か年後の更なる加速化、深化等を見据え、公共事業予算の毎年度の安定的な確保を強く要望します。さらに、「5か年加速化対策」後も、国土強靱化基本法の改正により新たに法定化された「国土強靱化実施中期計画」に基づき、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に防災・減災、国土強靱化の取組に必要な予算・財源が確保されるよう、国への働きかけをお願いします。

2 公共工事の県内企業への優先発注について(継続)

県内で発注される工事は、県内企業が施工することにより地域雇用の確保や地元経済の活性化に大きく繋がることから、県発注工事は、引き続き県内企業への優先発注をされますよう、強く要望します。
また、私ども県内の企業は、技術に優れた地域の要となる企業を目指し、特殊技術対象工事に対しても、下請参加やJV参加等を通じて、技術の習得と向上、技術者の育成に懸命に取り組んできました。その結果、ほとんどの特殊工事について、今や県内企業で十分に施工できる技術力を有しています。
つきましては、こうした特殊技術対象工事についても、これまで以上に県内企業へ優先発注されますようお願いします。

(1)地元企業への優先発注について(継続)

本協会の会員企業は、厳しい経営環境下にありながらも、これまで県との災害協定や社会的要請に基づき、日々、災害等の緊急時に備えて研鑽を重ね、災害発生時には、率先して復旧活動に当たるなど全面的に貢献してきております。
特に、平成30年の豪雨災害や大島大橋の衝突事故では、地域住民の生活の一日も早い復旧のため、最優先で全力を尽くして作業に取り組んできました。
更に、「家畜伝染病発生時における防疫業務に関する協定」を締結し、県民の安心・安全にも一層取り組んでいるところです。
こうした私どもの社会貢献を評価され、とりわけ、災害復旧工事につきましては、県の要請に基づき作業に従事した地元企業に、なお一層、優先発注されますよう強く要望します。
また、復旧工事における指名競争入札工事を拡大するとともに、指名競争入札では復旧工事に携わった企業を指名していただきますよう要望します。

(2)国土交通省大型工事等への参加に向けた支援について(継続)

県発注の公共工事の増加が見込めない中、今後早期整備に向け、事業の本格実施が期待される山陰自動車道の建設など県内で実施される「国土交通省等の直轄工事」等の大型工事につきましても、県内企業は、施工実績と必要な技術力を既に十分に有していることから、地域性での加点措置やJVに参加しやすい仕組みにより県内企業が今以上に参加できるよう引き続き国土交通省に要請していただきますようお願いします。
また、県内に立地された企業をはじめ、誘致企業等が発注する工事等につきましても、可能な限り県内企業が受注できますよう、ご支援をお願いします。

3 持続可能な建設産業育成施策の推進について(継続・新規追加)

私ども地方の建設業は、公共工事が長年にわたり毎年削減されてきた中で、厳しい経営を続けながらも、社会資本整備を通じて、地域経済と雇用を支え、県民の安心・安全に全力で取り組んできました。一方、現在、少子化の進行に伴い人手不足が深刻化していますが、若者の入職者は少なく、また、社員を新たに雇用するにも、中長期的な事業量の見通しがなければ経営計画も立てられません。
今後も厳しい経営状況が懸念されることから、特に、次の点についてスピード感を持って対応していただきますよう特段のご配慮をお願いします。

(1)「建設産業振興ビジョン」の策定及び関連計画の着実な実施について(継続)

建設産業の果たしてきた役割とともに、建設産業は他の産業と異なり、自ら需要を創出することが困難な特異な産業であるということにも今一度ご理解をいただき、建設産業振興の方向性を市場原理のみに委ねることなく、企業努力の適正評価にも十分に配慮いただきながら、建設産業の再生・活性化の指針となる「建設産業振興ビジョン」の策定及び関連計画等に基づく着実な取組をお願いします。

(2)入札契約制度の改正について(一部削除)

県におかれましては、これまで、入札・契約制度における「低入札価格調査基準価格の引き上げ」等の改正のほか、平成30年5月からは「工事における低入札価格調査内容の厳格化」や「総合評価方式における履行確実点の導入」などに取り組んでいただいているところですが、利益率の低さ等、現行の制度では、今後も企業が将来を見据えた活動ができるための「適正な利潤」の確保がなお難しい状況にあります。
この様な状況を踏まえ、「適正な利潤」が確保できるよう入札契約制度等の改正について、特に次の点の更なるご検討をお願いします。

①最低でも落札率が95%以上となるような入札契約制度の改善
②建築工事に係る設計数量の精算実施

更に、県予算の縮小により、新規事業が少なくなっていることから、特に近年発注件数が少ない工種については、総合評価における施工実績及び施工経験の期間要件を、令和元年度に改正をされた海上工事と同様に延長していただきますようお願いします。

(3)ゼロ県債の活用について(継続)

公共工事は、上半期の稼動が少なく下半期に集中しています。
建設業の企業経営の安定化と健全化のためには、施工時期の平準化が重要となります。また、社員の週休2日の導入や時間外労働の削減を図る上でも、通年を通して平準化する必要があります。
県では、平成29年度からゼロ県債による工事の発注を行われていますが、引き続きゼロ県債の事業を可能な限り設定し、平準化に取り組まれるようご配慮をお願いします。

(4)建設キャリアアップシステムへの対応について(継続)

建設業の担い手確保と生産性向上を図る上で、建設キャリアアップシステムの普及・定着を図ることが重要です。県におかれましては、本年5月からモデル工事の試行を全ての工事に対象を拡大されたところですが、同システムへ登録を行い、現場での活用を進める事業者に、工事成績評定や総合評価で加点措置がなされ、受注機会の拡大につながるよう、同システムの普及促進に引き続き支援いただきますようお願いします。

(5)週休2日の確保による働き方改革の推進について(継続・新規追加)

令和6年4月の改正労働基準法の罰則付き上限規制の適用が目前となっています。当協会としても将来の担い手確保・育成のためには、週休2日の確保等による働き方改革の推進は重要課題と認識しており、適切な賃金水準の確保や週休2日制の推進など、社員等への処遇改善や魅力ある建設現場に取り組んでところですが、これらの実現に当たっては、雇用の増大と経費の増大という課題に直面することとなります。
県におかれましては、現在、原則全ての工事を対象に週休2日工事を実施されており、とりわけ原則5千万以上は発注者指定型として発注されていますが、これらの取組に加え、発注者指定型の対象拡大や週休2日工事における4週8休達成時の経費の引上げなど、受注者が週休2日工事に取り組みやすくなるような更なる環境整備をお願いします。

(6)BIM/CIMの推進について(新規)

県におかれましては、3次元モデルを活用するBIM/CIMを推進するため、今年度から測量や設計業務に加え、工事においても試行を開始されたところです。
測量・設計段階から3次元モデルを導入することにより、設計の照査精度が向上し、着工後の手戻りを防止できるとともに、ICT施工のための3次元設計データの作成が容易になるなどの効果が期待できます。
つきましては、建設現場の生産性向上を図るため、BIM/CIMの取組を推進していただきますようお願いします。

(7)担い手確保・育成対策について(継続・新規追加)

県におかれましては、人材確保・育成対策を喫緊の最重要課題との認識の下、平成26年度に産学公連携の「山口県地域を支える建設産業担い手確保・育成協議会」を設立し、関係団体等と連携し、建設産業を担う若年労働者の人材確保・育成対策に取り組まれているところです。
当協会としても、担い手確保・育成のため、県や専門工事業団体と連携し、とりわけ若年者を対象に、建設業イメージアップ活動や、高校生の建設現場見学会及びインターンシップなどに取り組んでいるところであり、こうした取組に対し、引き続きご支援いただきますようお願いします。

4 改正品確法の基本理念に基づく発注関係事務の遵守について(継続)

平成26年6月に品確法等が改正され、公共工事の品質確保、担い手の育成・確保の促進等、中長期的な視野に立った考え方を示されました。また、令和元年、働き方改革や生産性の向上の実現など新たな課題に対応するため、新・担い手3法として、これら3法が再改正されました。
県におかれましても、平成27年度に「発注関係事務所等における事務運用指針」や「工事請負契約に係る設計・契約変更ガイドライン」などを策定され、適正な運用に取り組んでおられます。
つきましては、新・担い手3法への適切な対応を行われるとともに、事務運用指針やガイドライン等の遵守を、引き続き徹底していただき、これらに示されている下記事項について特段のご配慮をお願いします。

(1)予定価格の設定に当たっては、適正な利潤確保のため、市場の労務・資材取引価格、施工実態を的確に反映した積算を行うこと。積算に当たっては、適正な工期を前提として、最新の積算基準を適用すること。

(2)工事の性格、地域の実情、自然条件等を踏まえた適切な工期を設定の上、発注・施工時期等の平準化に努めること。

(3)設計図書の施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合等、必要となる請負代金の額、工期については、それぞれ適切な変更を行うこと。

また、市町に対しても適正な取組が行われるよう、引き続き、支援を行っていただきますようお願いします。

令和5年12月15日

山口県知事  村 岡 嗣 政  様

一般社団法人 山口県建設業協会

会  長 井 森 浩 視

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