2017/12/6 水曜日

村岡山口県知事及び柳居県議会議長に対し、要望書を提出しました!

Filed under: 建設業協会 — admin @ 10:31:01

去る11月29日(水)、村岡山口県知事及び柳居県議会議長に対し、要望書を提出いたしましたので、ご報告いたします。 今年の要望書の内容は下記のとおりです。

「平成30年度 県予算へ対する要望書」

さて、我が国経済は、政府が進めるアベノミクスの取組の下で雇用・所得環境が改善し、全体として穏やかな回復基調が続いているものの、一方では、激動の国際情勢の中で、我が国を取り巻く経済情勢は不安定な状況にあります。

また、我が国建設業界を取り巻く状況は、建設投資の減少と受注競争の激化等により、長年にわたり厳しい経営環境に置かれてきたものの、ここ数年、建設投資の長期減少傾向に一定の歯止めが掛かり、近年では、震災復興需要や経済対策等による公共事業の拡大がなされ、首都圏などの大手建設業では高利益水準が続いています。

しかし、今後も大きな需要が見込まれる首都圏などと工事量が減少している地方との事業量の偏りからくる「地域間格差」や、企業規模による工事量の偏りからくる大手との「企業間格差」がさらに拡大化しており、地域のインフラ整備や維持管理、災害対応等を担うべき地域建設業は依然として、困難な経営環境下に置かれています。

近年、地域建設業は、防災・減災対策、老朽化対策、耐震化、インフラの維持管理などの担い手として、その果たすべき役割がますます増大しています。

本年7月の「九州北部豪雨」やその後の全国を襲った豪雨災害では、直ちに救援・復旧対応など最前線での活動を求められたところです。

その一方、長年にわたる地域建設業を取り巻く厳しい経営環境の中で、ダンピング受注等による建設企業の疲弊や下請企業へのしわ寄せを招き、その結果として、現場の技能労働者の処遇低下や高齢化、そして若年入職者の減少等の構造的な問題が生じているのが実情です。

そうした中で、我々が将来にわたりその役割を果たし、課題も克服していくためには、経営基盤の安定化を図ることが何より不可欠であり、そのためには「安定的かつ持続的な事業量の確保」そして「適正利潤の確保」なくしては、企業存続もなく、その役割も果たし得ません。

このような状況を踏まえ、これらの課題に対応し、現在及び将来にわたる建設工事の適正な施工及び品質の確保と、その担い手の中長期的な確保・育成を図ることを目的として、平成26年6月に品確法などいわゆる「担い手3法」の一体的改正がなされ、翌年1月には「発注関係事務に関する運用指針」も策定されました。

今後とも、品確法などの更なる徹底により、インフラの品質確保と、建設業が「適正な利潤」を得て経営基盤を安定させることで、将来にわたって建設業の担い手を確保するという好循環の形成が強く求められているところです。

本県建設業の状況については、県の公共事業関係費はピーク時に比べ大幅に減少し、この傾向に合わせるかのように受注競争が激化し、企業収益は著しく低下してきています。その結果、経営難による倒産・廃業が相次ぎ、本協会の会員数もピーク時のほぼ半数に減少しており、近年、景気が回復しているものの、県内建設業は未だに危機的状況が続いていると言っても過言ではありません。

長年にわたり地域の雇用と経済を支えてきた県内建設業の疲弊は、県内の景気・雇用にも重大な影響を与えるとともに、次世代への技術・技能の承継や若者の入職促進が困難となり、社会資本の整備はもとより、近年、県内で多発している激甚災害を始めとする緊急事態への対応等において地域の安心・安全を確保することも困難となってまいります。

私ども建設企業自らも一層の経営合理化や技術力向上等に取り組むとともに、災害応急復旧や地域貢献活動等を通じ、地域社会から信頼されるよう努力を重ねているところですが、今後とも、地域の建設業が存続し、その社会的責任を果たしていくためには、何よりも経営基盤の安定化に向けた「安定的かつ持続的な事業量と受注の確保」、そして「適正利潤の確保」が不可欠です。

つきましては、建設業界を単なる「発注者と受注者」という関係だけでなく、「建設業は、社会基盤整備や災害時における応急対策などの社会的使命を担う、地域にとって必要な基幹産業である。」との位置づけのもと、本県建設産業の維持・発展のため、「公共事業予算の安定的な確保」等について、下記のとおりご要望いたしますので、何卒、実情をご賢察の上、格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

1 公共事業予算の安定的な確保について(継続)

近年、記録的な豪雨が毎年発生しており、今年も北部九州や東北地方など全国各地で甚大な被害が起こっています。山口県においても、過去、平成25年の萩地域や平成26年の岩国地域などで、これまで経験したことのない大雨により河川の氾濫や土砂災害による住家や農地の浸水、道路の被害が多数発生しており、また、いつ起こってもおかしくない状況にあります。

県民の安心・安全を確保することは県政の最重要課題であり、今後、防災計画の見直しをはじめ、ハード・ソフトにわたる防災・減災対策の早急な検討・対策の実施が望まれます。

県財政が大変厳しい状況にあることは理解していますが、多発する豪雨災害や地震等に対する防災・減災対策のための社会資本整備の推進及び老朽化した既存ストックの改修等を早急に前倒しして実施されますよう、このための公共事業予算の安定的な確保を強く要望します。

2 公共工事の県内企業への優先発注について(継続)

県内で発注される工事は、県内企業が施工することにより地域雇用の確保や地元経済の活性化に大きく繋がることから、県発注工事は、引き続き県内企業への優先発注をされますよう、強く要望します。

また、私ども県内の企業は、技術に優れた地域の要となる企業を目指し、特殊技術対象工事に対しても、下請参加やJV参加等を通じて、技術の習得と向上、技術者の育成に懸命に取り組んできました。その結果、ほとんどの特殊工事について、今や県内企業で十分に施工できる技術力を有しています。

つきましては、こうした特殊技術対象工事についても、これまで以上に県内企業へ優先発注されますようお願いします。

(1)地元企業への優先発注について

本協会の会員企業は、厳しい経営環境下にありながらも、これまで県との災害協定や社会的要請に基づき、率先して復旧活動に当たるなど災害発生時には全面的に貢献してきたところであり、また、日々、災害等の緊急時に備えて研鑽を重ねています。更に、昨年度、「家畜伝染病発生時における防疫業務に関する協定」を締結し、県民の安心・安全にも一層取り組んでいるところです。こうした私どもの社会貢献を評価され、とりわけ、災害復旧工事につきましては、県の要請に基づき作業に従事した地元企業になお一層優先発注されますよう強く要望します。

(2)大型工事等の参加への支援について

県発注の公共工事の増加が見込めない中、山陰自動車道の建設など県内で実施される「国土交通省等の直轄工事」等の大型工事につきましても、施工実績と必要な技術力を既に十分に有していることから、県内企業が今以上に参加できるよう強く要請していただきますようお願いします。

また、県内に立地された企業をはじめ、誘致企業等が発注する工事等につきましても、可能な限り県内企業が受注できますよう、ご支援をお願いします。

(3)地域維持事業への建設業協同組合等の参加について

「入札契約適正化指針」にも示されていますように、災害対応、除雪、インフラの維持管理等の地域維持事業については、複数企業による共同組織との間で、一括契約や、複数年契約を結ぶ等の検討がされています。

検討に当たっては、既にある県下各地に設立されています建設業協同組合の地域維持事業への参加の可能性についても、併せてご検討をお願いします。

3 持続可能な建設産業育成施策の推進について(継続)

私ども地方の建設業は、公共工事が長年にわたり毎年削減されてきた中で、厳しい経営を続けながらも、社会資本整備を通じて、地域経済と雇用を支え、県民の安心・安全に全力で取り組んできました。一方、現在、人手不足が深刻化していますが、社員を新たに雇用するにも、先が見えない中、どう対処してよいのか、大変不安を感じています。ぎりぎりの経営を続けている状況で、経営努力も限界にきていますことから、特に、次の点についてスピード感を持って対応していただきますよう特段のご配慮をお願いします。

(1)「建設産業振興ビジョン」の策定について

建設産業の果たしてきた役割とともに、建設産業は他の産業と異なり、自ら需要を創出することが困難な特異な産業であるということにも今後とも理解を示され、市場原理に委ねることなく、他県同様、建設業法で規定する「建設業審議会」を設置され、建設産業の再生・活性化の指針となる「建設産業振興ビジョン」の策定について、是非ともご検討をお願いします。

(2)入札契約制度の改正について

県におかれましては、これまで、入札・契約制度における「低入札価格調査基準価格の引き上げ」等の改正に取り組んでいただいたところですが、悪化した利益率の低さ等、現行の制度では、未だに、企業が存続できる「適正な利潤」が確保できない状況にあります。また、「働き方改革」において、適切な賃金水準の確保や週休2日の推進などが、社員等への処遇改善や魅力ある建設現場を実現する上で必要不可欠なものとなっています。

この様な状況を踏まえ、「適正な利潤」が確保できるよう入札契約制度等の改正について、特に次の点の更なるご検討をお願いします。

1.最低でも落札率が95%以上となるような入札契約制度の改善

2.建築工事に係る設計数量の精算実施

3.低入札価格調査基準価格(判断基準額を含む。)の更なる引き上げ

4 改正品確法の基本理念に基づく発注関係事務の運用指針等の遵守について(継続)

平成26年6月に品確法等が改正され、公共工事の品質確保、担い手の育成・確保の促進等、中長期的な視野に立った考え方を示されました。また、改正品確法の実施に当たっては、国・地方公共団体が連携し協力することが必須であることから発注者共通の運用指針が策定され、平成27年4月からその運用が実施されています。

県におかれましても、平成27年度に「発注関係事務所等における事務運用指針」や「工事請負契約に係る設計・契約変更ガイドライン」などを策定され、適正な運用に取り組んでおられます。

つきましては、運用指針やガイドライン等の遵守を、引き続き徹底していただき、これらに示されている下記事項について特段のご配慮をお願いします。

(1)予定価格の設定に当っては、適正な利潤確保のため、市場の労務・資材取引価格、施工実態を的確に反映した積算を行うこと。積算に当っては、適正な工期を前提として、最新の積算基準を適用すること。

(2)工事の性格、地域の実情、自然条件等を踏まえた適切な工期を設定の上、発注・施工時期等の平準化に努めること。

(3)ダンピング受注を防止するため、低入札価格調査制度又は最低制限価格制度の適切な活用を徹底すること。

(4)設計図書の施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合等、必要となる請負代金の額、工期については、それぞれ適切な変更を行うこと。

また、運用指針等の遵守について、未だに十分対応できていない市町もあることから、指導・支援を行っていただきますようお願いします。

平成29年11月29日

山口県知事  村  岡  嗣  政  様

一般社団法人 山口県建設業協会

会 長  井  森  浩  視


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