県議会議長及び山口県土木建築部長に対し要望書を提出しました！
去る１２月５日（木）及び１８日（水）、柳居県議会議長及び小口山口県土木建築部長に対し、要望書を提出いたしましたので、ご報告いたします。今年の要望書の内容は下記のとおりです。
「平成２６年度 県予算へ対する要望書」
平素より、私ども建設業界に対しまして、深いご理解と格別のご支援ご高配を賜っておりますことに、心より厚く御礼申し上げます。
さて、国土交通省においては、「我が国の建設産業は、近年の建設投資の大幅な減少等を背景に受注競争が激化し、ダンピング受注、下請へのしわ寄せ等を通じて、現場の技能者等の処遇悪化や、若年入職者の減少による人手不足等が深刻化している。また、発注者側のスキル・マンパワー不足も指摘されており、将来にわたる公共工事の品質確保、老朽化が進むインフラの維持管理や災害対応等の的確な確保等が大きな課題となっている。このため、中長期的な建設産業の担い手の確保・育成を目的に、時代のニーズや地域の特性に応じた多様な入札契約制度の導入・活用など、厳しい状況にある建設産業の持続可能な発展に向け、今こそ、官民連携して課題解決につながる取り組みを重点的に検討し、行動に移す必要がある。」としております。
こうした中、本協会が加盟する（一社）全国建設業協会においても、「本年度、公共工事設計労務単価の引き上げ、低入札調査基準価格の見直しが行われたが、地方公共団体等の取り組み状況は十分なものとは言えない。今後の公共工事の迅速かつ円滑な施工確保を図るための入札契約環境はどうあるべきか。また、適正契約での契約促進のため、多様な入札契約制度の検討が行われているが、施工段階における生産性の向上等による適正利潤の確保に向けた施工体制について、どのようにあるべきか。さらには、施工体制の確保を図るためには、人材・資機材等の確保は重要であるが、特に、若手技術者の確保・育成のための積極的な活用方策について、どのように取り組むべきか。」等々の問題提起を行っております。
このような認識や問題提起については、本県建設業界においても全く同様であり、特に、本県の公共事業関係費はピーク時に比べ40％以上減少し、この傾向に合わせるかのように受注競争が激化し、収益性は著しく低下し、経営難による倒産・廃業が相次ぎ、本協会の会員数もピーク時のほぼ半数に減少しており、県内建設業は、真に危機的状況にあるといっても過言ではありません。
また、本県の入札契約制度について、本年9月23日発行「日経コンストラクション」の特集記事「主要発注者別の入札制度」によると、本県発注の土木工事における競争入札の落札率は全国平均に比べ低いものとなっております。
長年にわたり地域の雇用と経済を支えてきた県内建設業の疲弊が、このように永く続きますと、県内の景気・雇用にも重大な影響を与え、建設労働者の離職や若年労働者の建設業離れが顕著となり、これまで培われてきた技術の伝承が困難となり、社会資本の品質確保はもとより、本年7月28日、山口市、萩市及び阿武町を襲った激甚災害を始めとする緊急事態への対応等、地域の安全・安心を確保することが困難となって参ります。
地方の建設産業が健全な発展と社会的責任を果たしていくためには、適正な利益と受注の確保が不可欠でありますが、現在のように、経営を維持することが精一杯の状況では、今国会で継続審議となっている「国土強靭化基本法案」に基づく国土強靭化基本計画への対応や災害発生時の迅速な対応、さらには若年入職者の減少による技能・技術の継承といった課題への対応も極めて困難とならざるを得ません。
こうした状況下にあって、私ども建設企業自らも一層の経営合理化、技術力向上等に取り組むとともに、災害応急復旧や地域貢献活動等を通じ、地域社会から信頼される業界となるよう自助努力を重ねているところです。
建設業を単に「発注者」と「受注者」という関係でなく、「建設業も重要な産業の一つである。」という位置付けの下、本県建設産業発展のため、公共事業予算の安定的・継続的な確保、県内企業への優先発注、持続可能な建設産業育成施策の推進及び災害協定の実効性の確保について、下記のとおりご要望申し上げますので、何卒、実情をご賢察の上、格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。
記
１ 公共事業予算の安定的・継続的な確保について
本県では、「輝く、夢あふれる山口県」の実現に向け、「産業力・観光力の増強」を県政の最重点課題に掲げ、産業戦略の推進に取り組んでおられるところですが、このための産業戦略上必要なインフラ整備、また、近年多発する台風や豪雨災害等から県民の安全・安心を確保するためのハード・ソフト両面からの防災・減災対策の推進、さらには、老朽化した既存ストックの計画的な改修整備については、依然十分とはいえず、地域毎には多くの課題があります。
一方、私ども県内建設企業にとっては、長年にわたる公共事業予算の減額により、計画的・安定的な経営の見通しが立てられなくなっており、その環境は悪化の一途であります。
つきましては、こうした状況を脱するため、厳しい財政事情の下とは存じますが、景気動向に左右されない県内の社会資本整備を着実、計画的に推進するための「公共事業予算」の安定的かつ継続的な確保について強く要望します。
２ 公共工事の県内企業への優先発注について
県内で発注される工事については、県内企業が受注し、施工していくことが低迷する地域の雇用確保や地域経済の活性化に大きく貢献するものと考えます。
私ども県内建設企業は、技術に優れた地域の中堅企業を目指し、特殊技術対象工事に対して、下請参加、ＪＶ参加等を通じて、技術の習得と向上、技術者の育成に懸命に取り組んで参りました。その結果、こうした特殊工事についても、今や十分県内企業で施工が可能となっております。
つきましては、公共工事が大幅に減少している現在、こうした特殊技術対象工事を含め、県発注工事の県内企業への優先発注について強く要望します。
（１）当協会の会員企業は、これまでも県との災害協定や社会的要請に基づき、災害発生時には全面的に貢献してきたところであり、また、日々災害等の緊急時に備えて研鑽を重ねているところでもあります。こうした私どもの社会貢献を評価され、災害復旧工事につきましては、県の要請に基づき作業に従事した地元企業に発注されるようご検討をお願いします。
（２）県発注の公共工事が減少する中、県内で実施される「国土交通省等の直轄工事」を始め「防衛省所管の岩国基地関連工事」等の大型工事につきましても、県内企業が今以上に参加できるよう強く要請していただきますようお願いします。
また、県の最重点施策である「産業力・観光力の増強」に基づき企業誘致・県内立地されました企業が発注される工事等につきましても、民・民工事であることは承知いたしておりますが、可能な限り県内企業が受注できますよう、ご検討をお願いします。
（３）「入札契約適正化指針」（H23年8月9日閣議決定）にも示されておりますように、維持管理や除雪、災害応急対策等の地域維持事業については、複数企業による共同組織との間で、一括契約や、複数年契約を結ぶ等の検討がされております。
検討に当たっては、既にある県下各地に設立されております建設業協同組合の地域維持事業への参加の可能性についても、併せてご検討をお願いします。
３ 持続可能な建設産業育成施策の推進について
私ども地方の建設企業は、長年にわたる公共事業の削減と受注競争の激化の中で、生き残りをかけた厳しい経営を続けており、社会資本整備を通じて、地域経済と雇用を支え、県民の安全・安心を守ってきましたが、この先どうなるのか、全く先が見えない中、大変不安を感じております。人員を削減し、重機を手離し、ぎりぎりの経営を続けており、経営努力も限界にきておりますことから、特に、次の点についてスピード感を持って対応していただきますよう強く要望します。
（１）「建設産業振興ビジョン」の策定
建設産業の果たしてきた役割と共に、建設産業は他の産業と異なり、自ら需要を創出することが困難な特異な産業であるということにも理解を示され、市場原理に委ねることなく、他県同様、建設業法で規定する「建設業審議会」を設置され、建設産業の再生・活性化の指針となる「建設産業振興ビジョン」の策定について、ご検討をお願いします。
（２）入札契約制度の改正
県におかれましては、昨年度、入札契約制度における「低入札価格調査基準価格の引き上げ」等の改正に取り組んでいただいたところですが、完成工事高における利益率の低下等、現行の制度では、いまだ、企業が存続できる利益が確保できない状況にあることから、入札契約制度等の改正及び不良不適格業者排除の観点からも、特に次の点について、ご検討をお願いします。
�� 収益性向上のための入札契約制度の更なる改善
・地域の特性に応じた多様な入札契約制度の検討及び弾力的な運用
・適切な予定価格の設定
・低入札価格調査基準価格（判断基準額を含む。）の更なる引き上げ
（※）目標 平均落札率９５％以上
�� 予定価格の事前公表の取り止め
�� 建築工事に係る設計数量の精算実施
４ 災害協定の実効性の確保について
本協会では、平成10年1月、山口県と地震、風水害その他の大規模災害が発生した場合における災害応急対策業務の支援に関し、「大規模災害時における応急対策業務に関する協定」を締結しております。
また、本年6月には、中国５県の建設業協会長と国土交通省中国地方整備局長との間で「災害時における中国地方整備局所管施設の災害応急対策業務に関する協定」を締結したところです。他方、各協会員にあってはこれらの協定とは別に、市町単位でも別途「災害支援協定」を締結しているところであります。
こうした状況下で、一旦大規模災害が発生した場合、道路啓開や障害物の除去、被災施設の復旧など、初期対応における建設業の果たす役割は極めて重要でありますが、南海トラフ巨大地震など大規模災害発生時には協定協力業者も被災する可能性がある一方、会員企業からすれば各々の協定に基づき順不同に支援要請があるため、人員・資機材調達が重複し、要請に応えられないことが想定されます。
つきましては、国並びに県・市町間の緊密な連携と協力に基づいた執行体制の確立、災害協定の優先順位の明確化、行政による資機材の備蓄・提供について、ご検討をお願いします。
平成２５年１２月１８日
山口県知事 山 本 繁 太 郎 様
一般社団法人 山口県建設業協会
会 長 井 森 浩 視
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