萩商工高校が「県道小野田山陽線くし山跨線橋架替工事」、「国道490号道路(東の山トンネル)改良工事」の現場見学会に参加しました!
本協会では、土木・建築コースのある県内延べ11高校に対して、より一層建設業への理解や興味を深めてもらおうと、山口県土木建築部と共催で、高校生現場見学会を毎年実施しています。
今回は、令和3年6月4日、萩商工高等学校(以下「萩商工」)機械・土木科の2、3年生30名(男子28名、女子2名)が参加した「県道小野田山陽線くし山跨線橋架替工事」及び「国道490号道路(東の山トンネル)改良工事」の2か所の大型工事の現場見学会を取材しました。
最初の見学地である県道小野田山陽線は、山陽小野田市の小野田地区と厚狭地区を結ぶ主要地方道で、交通量は1日約2万台。車道2車線の区間に慢性的な渋滞が発生しているため4車線化が進められており、完成後には山陽自動車道小野田ICや国道2号厚狭・埴生バイパスへのアクセス向上も期待されています。
区間内にある「くし山跨線橋」は、JR線路の上に架かっており、県・JR西日本・施工業者である広成建㈱が協議を重ね、電車の運行や周辺の方々の生活の妨げにならないよう、慎重に工事が進められてきました。
また、橋は交通量が多くて通行止めにはできないため、既存の橋を半分ずつ撤去する方法で新しい橋が作られています。
現場事務所に集合した生徒の皆さんは、本協会職員からイメージアップ広報誌Pillar(ピラー)を使った地元建設業界の現状等の説明を受けた後、座学と見学の2つのグループに分かれました。
座学では、宇部土木建築事務所の担当者と工事監理者から工事概要やその効果、進捗状況などの説明を受け、深夜に行われた既設橋の撤去をコマ送り動画で視聴させてもらいました。
400tもの橋の撤去作業には、生徒の目も釘付けになり、工事の内容や進め方に理解を深めていました。
現場では、足場を登って工事中の橋の上に上がり、作業や重機を間近で見るとともに、橋の高さなど構造物の大きさを体感。
生徒の皆さんは、下を通る線路を覗き込み、電車が通行する中での慎重な作業に感心していました。
見学後には、「大規模な工事ですが、近隣の方から苦情はないですか?」と生徒から質問があがり、施工管理の担当者から「周辺住民の方々への配慮をしっかりと考えて計画を組んでおり、現在まで苦情はない。古い橋を解体する際には大きな音が出るので、橋は分割してトラックで運搬し民家のない山奥で壊している。」との返答を受け、深く頷く姿が見られました。
江汐公園で昼食をとった後は、美祢市美東にある国道490号道路改良工事現場へ。
国道490号「小郡萩道路」は、県央の交通拠点である山口市小郡、主要観光地である美祢市秋吉台、山陰の中心都市である萩市を結び、中国縦貫自動車道等と連結する約30kmの地域高規格道路です。美祢東JCTから絵堂ICまでの12.9kmはすでに供用されており、現在は絵堂ICから萩・三隅道路に接続する萩ICまでの約15km(絵堂萩道路)の改良工事が進められています。見学地である「東の山トンネル」は区間内に整備が予定されている4つのトンネルのうちの1つです。
生徒の皆さんは、現場近くの大田公民館で、絵堂萩道路の工事概要や東の山トンネルの特徴や施工手順について、宇部土木建築事務所美祢支所の担当者から説明を受けた後、東の山トンネルの工事現場へ向かいました。
2020年から掘削を開始した東の山トンネルは延長290m。すでにトンネル自体は貫通しており、見学時は底面を強くするインバートコンクリートを施工する作業が行われていました。
巨大なトンネル坑内に入った生徒達は、普段見ることのできない施工中のトンネル内部に目を輝かせ、壁面を補強するためのロックボルトや湧水処理など工事担当者からの説明に真剣に耳を傾けていました。
「掘削は1日平均4mずつ。状況が悪いときには1mしか掘れないこともある。」との話には、「毎日同じ作業で集中力は持ちますか?」と質問が飛び、トンネルという大きな構造物を作り出すのも、作業員の地道な作業だということに改めて驚いているようでした。
参加した萩商工高校機械・土木科3年生の田中 穂乃香さん(写真上)は「くし山跨線橋は、昨年も見学させてもらいましたが、工事が思った以上に進んでいて、効率的に作業されているんだなと感心しました。実際に見ることで授業で習ったことも理解が深まるので、参加させてもらえて嬉しいです。」と話してくれました。
また、同校2年生の岸根 琉生くん(写真上)は、「跨線橋の架替でも道路を通行止にせず、片側ずつ工事するというやり方に驚きました。危険な場所での作業もあり大変そうだったけど、人の生活を支える土木の仕事が好きなので、いつかこの仕事ができたらいいなと思います。」と未来の夢を語ってくれました。
引率された同校の谷本 光喜先生(写真上)は、「2年生からは工事内容についての質問が多かったですが、3年生は仕事に繋がるような就職を見据えた質問もあがっていました。仕事をする以上辛いことや大変なこともありますが、『楽しさ』があれば続けていけると思うので、現場見学では大きな構造物や重機といったスケールの大きなものを見るのはもちろんのこと、現場で働く方々の生の声を聞いて、その楽しさを見つけてほしい。生徒が卒業して建設業界に入り、この現場見学会でまた頑張っているところを見られると嬉しいですね。」と生徒たちの将来を楽しみにしておられました。
本協会では今後とも高校生現場見学会を通じて、次世代の担い手となる高校生の皆さんに建設の面白さやものづくりの醍醐味を伝えていきます。
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